
もう一つの多機能アミノ酸
オルニチンオルニチンについて
- タンパク質を構成しないアミノ酸です。
- 生体内ではアルギニンから生合成されます。
- シジミに多く含まれることが知られており、ヤマトシジミでは軟体組織100g中25.4~29.7mg(約0.2mg/粒)の遊離オルニチンが含まれることが確認されています。※1
化学構造

安定性※2
中性~酸性水溶液(1g/L)中では、光照射下でも少なくとも12週間は安定オルニチン塩酸塩1.28g/100mLを含むアミノ酸飲料(pH3.4)では、90℃、5分殺菌後、室温1年保管での残存率100%※1 岡本成司, 山口洋子, 小山寛喜, 中谷操子, 米田千恵, 渡部終五. 生息域を異にする涸沼川水系産ヤマトシジミ Corbicula japonica のエキス成分および潮汁の食味の比較. 日本水産学会誌. 2012, vol. 78, no. 3, p. 444–453.
※2 柴崎剛. シトルリン・オルニチン. 食品と容器. 2009, vol. 50, no. 3, p. 140–146.
オルニチン塩酸塩の呈味特徴
オルニチン塩酸塩は、苦味が中心で若干の甘味、旨味を有するアミノ酸です。
呈味閾値 | 閾値(mg/dL) |
---|---|
オルニチン塩酸塩 | 20 |
◆被験者
大学生25名(男性10名、女性15名)および、味覚感度の優れていることにより選定されたパネルのうちの30~50名
◆呈味の確認方法
感ぜられる味全体を10とした場合に、「甘い」「鹹い(塩味)」「酸っぱい」「苦い」「旨い」「その他の味」に10がどのような割合で感覚的に配分されるかを記録させた。

参考文献:二宮恒彦. アミノ酸の呈味に関する研究. 調理科学. 1968, vol. 1, no. 4, p. 185–197.
オルニチン塩酸塩の溶解度

参考文献:江頭他. アミノ酸資料集2010年度版. 日本アミノ酸学会, 2010.
オルニチンは尿素サイクルを
構成する
アミノ酸はエネルギー源などとして代謝されますが、アミノ基(-NH2)を有しているため代謝されるとアンモニア(NH3)が発生します。アンモニアは生体にとって有毒であるため、無毒化する仕組みとして尿素サイクルが存在します。尿素サイクルではアンモニアを代謝していくことで、最終的に無毒な尿素へ変換します。この代謝の過程でオルニチンに変換されるため、オルニチンを摂取することで、尿素サイクルの回転を促進することができると考えられます。その結果、アンモニアの分解を促進させると考えられます。
尿素サイクル

参考文献:江頭他. アミノ酸資料集2010年度版. 日本アミノ酸学会, 2010.
オルニチンはポリアミンの前駆体
オルニチンはこれらのポリアミノンの前駆体となることから組織の成長への関与が期待されます。

オルニチンの機能概観
オルニチンは、尿素サイクルに関与したり、成長ホルモン分泌促進、ポリアミン合成などに関与することから様々な生理機能が確認されています。
近年、骨に対する機能も報告されており、利用範囲の拡大が期待されます。
骨密度の低下抑制
骨粗鬆症モデル(卵巣摘出)のマウスにオルニチンを配合した飼料を与えたところ、骨密度の低下が抑制されました。
骨密度(BV/TV)の変化

引用:須佐他. 味の素㈱. WO/2021/200996. 骨強度低下の予防又は改善用組成物. 2021.
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