
筋肉系アミノ酸
BCAABCAAとは
BCAAとは、Branched Chain Amino Acids(分岐鎖アミノ酸)の略で、その名称の通り、側鎖が分岐した炭素鎖であるアミノ酸になります。
バリン、ロイシン、イソロイシンの3種が該当します。
BCAAは筋肉の維持・増強に欠かせないアミノ酸です。
主に、筋肉の主要な材料、運動時の筋肉のエネルギー源、筋肉の合成促進・分解抑制因子、といった役割を持ちます。
化学構造

BCAAの呈味特徴
BCAAは苦味が中心のアミノ酸です。BCAAの中でもバリンは甘味など苦味以外の呈味も比較的感じられます。
BCAAを食品に配合する場合、苦味をいかにマスキングするかがポイントになります。
呈味閾値 | 閾値(mg/dL) |
---|---|
イソロイシン | 90 |
バリン | 150 |
ロイシン | 380 |
◆被験者
大学生25名(男性10名、女性15名)および、味覚感度の優れていることにより選定されたパネルのうちの30~50名
◆呈味の確認方法
感ぜられる味全体を10とした場合に、「甘い」「鹹い(塩味)」「酸っぱい」「苦い」「旨い」「その他の味」に10がどのような割合で感覚的に配分されるかを記録させた。

参考文献:二宮恒彦. アミノ酸の呈味に関する研究. 調理科学. 1968, vol. 1, no. 4, p. 185–197.
BCAAの溶解度

参考文献:江頭他 . アミノ酸資料集 2010 年度版 . 日本アミノ酸学会 , 2010.
BCAAは運動時の
筋肉のエネルギー源になる
BCAAは筋肉で代謝されるアミノ酸の一つです。BCAAが代謝される際、いくつかの酵素反応を介します。その中で運動により活性化される酵素があり、運動時にエネルギー源として使用されると考えられます。
また、糖と同等のスピードで代謝されることも報告されており、運動時のエネルギー源として重要な役割を担っているアミノ酸です。
BCAAのエネルギー産生メカニズム
参考文献:矢ヶ崎一三, 門脇基二, 舛重正一, 横越英彦, 日本栄養食糧学会. アミノ酸の機能特性:ライフサイエンスにおける新しい波. 2007, ISBN9784767961118.
栄養シグナル分子としてのBCAA
ロイシン
- ●TORを活性化させ、リボソームでの筋タンパク質合成を促進
- ●グリコーゲンの同化を促進
イソロイシン
- ●骨格筋へのグルコース取り込みを促進
- ●取り込まれたグルコースの異化を促進し、筋タンパク質合成に必要なエネルギーを供給
バリン
- ●転写制御因子や細胞周期関連因子の発現に関与

参考文献:矢ヶ崎他, 日本栄養食糧学会. アミノ酸の機能特性:ライフサイエンスにおける新しい波. 2007, ISBN9784767961118.
ロイシンは筋タンパク質合成を
促進させる
筋タンパク質は、筋肉の細胞内のリボソームという細胞小器官で合成されます。このリボソームでDNAからの情報からタンパク質が合成されることを「翻訳」と呼びます。ロイシンはmTORという筋タンパク質合成のシグナルを伝達する因子を介してこの翻訳過程を活性化することで、筋タンパク質合成を促進します。
BCAAは筋タンパク質分解を
抑制する
運動中にBCAAを摂取することにより、筋タンパク質の分解を抑制しました。

被験者: 健康な男性7名(自転車を趣味にしている人、25±1歳)
摂取: BCAA100mg/kg体重(Leu:Val:Ile=45:30:25);10回に分けて経口摂取(運動前、運動中、運動後)
参考文献:Blomstrand &Saltin. BCAA intake affects protein metabolism in muscle after but not during exercise in humans.
American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism. 2001, vol. 281, no. 2, p. E365–E374.
BCAAは筋肉痛を抑制する
トレーニング時にBCAAを摂取することで、筋肉痛の痛みを抑制させることができました。
膝屈曲時の筋肉痛のVASスコアの変化
VASスコアの変化

参考文献:Jackman et al. Branched-Chain Amino Acid Ingestion Can Ameliorate Soreness from Eccentric Exercise.
Medicine & Science in Sports & Exercise. 2010, vol. 42, no. 5, p. 962–970.
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