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AjiPro®-L 乳牛用リジン製剤

製品特長

  • ・独自の製造技術※により、親水性のリジンを疎水性の硬化植物油で保護した粒状製剤。 保護層の形成によりルーメンにおけるリジンの溶出を防ぐ。
  • ・アミノ酸が吸収される小腸まで製品中リジンを届けることができる溶出制御型製剤。
    ※特許番号、特許第5040919号にて特許査定済み。

製品仕様

L-リジン含量 40% 以上
水分 5% 以下
有効リジン含量(g 製品100g中) 25g 以上
ルーメンバイパス 80%
消化率 (% バイパスリジン中) 78.1%
  • ・製造原料: 塩酸L-リジン、硬化植物油、レシチン
  • ・粗タンパク含量: 40% (粗タンパクは100%L-リジン由来)
  • ・推定NEl: 3,260kcal/kg (CPM Dairyによる算定)
  • ・包装形態: 25kg袋
  • ・製造: Ajinomoto Animal Nutrition North America, Inc. (USA)

製品性能

乳牛にAjiPro®-Lを投与し、 以下の2つの試験から有効率および有効リジン含量を測定。
1) ルーメンバイパス率測定(投与した製品中リジンの十二指腸への到達率)
2)糞中排泄率測定 (投与した製品中リジンの糞中へ排泄された率)

【有効リジン含量算定式】
ルーメンバイパス率 80%*-糞中排泄率 17.5%*= 有効率 62.5%*
*投与製品量当たりのパーセンテージ表示。
有効率 62.5%×製品中リジン含量 40% = 製品中有効リジン含量 25%
【各消化工程でのAjiPro®-L動態】

①ルーメン内での菌体による分解を評価するだけでは、不十分。
有効率の正しい算定のためには、②反芻・咀嚼による損失、③腸管における消化・吸収も正しく評価することが必要。

製品効果(泌乳試験結果)

※以下の試験では旧世代品を使用しており、表示の給与g数は改訂後の製品相当となります。

米国試験結果

AjiPro®-L投与量
(g/頭/日)
試験1 試験2 試験3
対象区 65g 対象区 50g 100g 対象区 65g 130g
供試動物頭数 170 170 7 8 8 22 22 21
供試動物週齢 分娩後11-18週 分娩後5-8週 分娩後0-4週
Lys/MP (%) 6.12 6.60 5.75 6.15 6.55 6.65 7.30 7.95
泌乳量 (kg/頭/日) 48.0 50.0 43.2 44.6 45.7 37.1 38.5 39.2
乳タンパク (%) 2.82 2.88 2.73 2.73 2.72 3.2 3.17 3.11
乳タンパク生産量
(kg/頭/日)
1.35 1.43 1.18 1.22 1.24 1.17 1.20 1.21
乳脂肪 (%) 3.59 3.64 3.80 4.14 3.78 4.74 4.97 4.89
乳脂肪生産
(kg/頭/日)
1.72 1.82 1.66 1.84 1.73 1.73 1.89 1.91

国内試験結果

対照期間 AjiPro®-L 投与期間
0g 投与 40g投与 80g投与
平均分娩後日数
(DIM)
141 133 169
期間平均泌乳量
(kg/頭/日)
45.7 46.3 47.1
乳検データ
乳タンパク (%) 2.88 2.88 2.94
乳タンパク生産量
(kg/頭/日)
1.32 1.33 1.38
乳脂肪 (%) * 3.63 3.38 3.33
乳脂肪生産量 *
(kg/頭/日)
1.66 1.57 1.57
採血データ
BHBA (mg/dl) 1449 1167 771
NEFA (mEq/L) 482 255 273

*AjiPro-L非投与群を含む農場全体で乳脂肪含量が低下

  • ・北海道富良野市
  • ・高泌乳牛ペンを使用(100頭強)
  • ・試験期間:2014年6~8月 (1カ月毎にAjiPro®-L投与量を変更)
  • ・乳成分は月1回の乳検データ値より
  • ・平均分娩後日数は乳検時データ
  • ・月1回採血、血液生化学指標分析
  • ・乳タンパク生産量、乳脂肪生産量は乳検データ値および期間平均泌乳量より試算

TMR混合時における安定性

  • ・ルーメンバイパスアミノ酸製品は、酪農現場ではTMRに混合されて使用されることが多い。
  • ・TMRは水分が多くかつpHが低いため、ルーメンバイパスアミノ酸の保護性能に影響する可能性がある。
  • ・実用的な使用には①TMR中での安定性、②TMR機械混合によるバイパス性能の劣化程度、を評価する必要がある。

TMR混合中の製品外へのLysの溶出

【方法】
  • 1)米国で上市されている6種のルーメンバイパスリジン製品を評価。
  • 2)TMR200gにルーメンバイパスリジン2gをナイロンバック内で混合、その後21℃で0, 6, 18, 24時間放置。
  • 3)各時間においてTMRを水に浸しリジンを抽出、TMR中に溶出したリジン量を分析。
【結果】

TMRへのリジン溶出率(%, 各製品リジン含量に比して)

TMR混合後のルーメンバイパス性能

【方法】
  • 1)米国で上市されている6種のルーメンバイパスリジン製品を評価。
  • 2)各ルーメンバイパスリジン製品同量をルーメンバッグに入れる。
  • 3)TMR350kgと各ルーメンバイパスリジン製品が入ったルーメンバッグをTMRミキサー(Super Data Ranger)で6分間混合。
  • 4)混合後ルーメンバッグを取り出し、ルーメンに投入。
  • 5)ルーメン投入後、0, 6, 12, 24時間後の製品中のリジン残存を測定し、ルーメン内での消失率を算定。
【結果】
【まとめ】
  • ・いくつかの製品はTMR中へリジン溶出、つまり乳牛が摂取する前に多くのリジンがバイパス性能を消失している。
  • ・TMR混合の有無はバイパス性能に大きな影響を与えないが、いくつかの製品はもともとバイパス性能が著しく低い。
  • ・これらの製品において、AjiPro®-Lは実用的な使用方法において最も安定であると言える。

泌乳試験 ~バイパスタンパク源の置き換え~

  • ・現行飼料では高泌乳量に応じた高いタンパク要求量を満たすために、タンパク供給の多くをRUPに依存している。
  • ・一般的に乳牛に使用される飼料原料由来のRUP中では、リジン含量が低くリジンが欠乏しがちである。
  • ・リジンの不足を補うために、リジン含量が比較的高い血粉やバイパス大豆粕を利用しているが、それらの原料はリジン以外のアミノ酸も多く含んでおり、タンパク合成に利用できない過剰な窒素の供給源となっている。
  • ・過剰な窒素供給は肝臓代謝への負荷やその他アミノ酸の分解亢進を引き起こすことが懸念されているが、泌乳成績への影響を示すデータはあまりない。
  • ・AjiPro®-Lを使用し、リジン供給量を維持しながらもRUP由来の窒素を削減した場合の泌乳成績を評価した。
【方法】
  • 1)72頭の経産牛を使用。試験飼料は分娩後4~7週目に給与。
  • 2)泌乳量は毎日、乳成分は試験飼料給与後1週間毎に測定。
  • 3)各ルーメンバイパスリジン製品の有効率は、メーカー推奨値を使用。
  • 4)血粉タンパクのバイパス率は80%、消化率は70%(%、バイパスタンパク中)を使用。

飼料組成

飼料組成 対照区 血粉区 AjiPro®-L区 製品E区
DM(kg/d) DM(kg/d) DM(kg/d) DM(kg/d)
コーンサイレージ 8.16 8.16 8.16 8.16
ヘイレージ(3番刈り) 1.81 1.81 1.81 1.81
アルファルファヘイ 1.36 1.36 1.36 1.36
コーンミール 3.63 3.63 3.63 3.63
シトラスパルプ 1.25 1.25 1.25 1.25
ローステッド大豆 1.36 1.36 1.36 1.36
配合飼料 2.27 2.27 2.27 2.27
菜種粕 0.23 0.68 0.68 0.68
DDGS 0.91 - - -
血粉 - 0.23 - -
バイパス大豆粕 - - 0.19 0.19
AjiPro®-L - - 0.04 -
ルーメンバイパスリジン製品E - - - 0.02
倍散用コーンミール 0.11 0.34 0.34 0.36
合計 21.09 21.09 21.09 21.09
CP (%) 17.7 18.3 17.8 17.8
RUP (%CP) 45.2 45.9 44.9 44.9
peNDF (%) 21.8 21.7 21.8 21.8
NFC (%) 43.7 44.0 44.3 44.2
Sugar (%) 5.3 5.4 5.4 5.4
Starch (%) 28.2 28.7 28.8 28.8
EE (%) 6.5 6.0 6.1 6.1
ME Balance (mcal) -2.1 -2.3 -2.1 -2.1
MP Balance (g) -23.9 62.7 23.8 22.3
Lys(%MP) / Lys Supply(g/d) 5.95 / 153.1 6.27 / 166.1 6.37 / 166.8 6.38 / 166.8
Met(%MP) / Met Supply(g/d) 2.07 / 53.3 2.04 / 54.3 2.07 / 54.2 2.07 / 54.2

*血粉の置き換えにより、CPはルーメンバイパスリジン両区で血粉区よりも低い。
*リジン給与量は対照区を除き同量。

【結果】
  試験区
対照区 血粉区 AjiPro®-L区 製品E区
供試頭数 18 18 18 18
平均乾物摂取量(kg/d) 20.46 20.23 20.50 20.55
生産量 (kg/d)
乳量 42.7 b  42.6 b 44.3 a 42.1 b
3.5%乳脂補正乳量 46.6 b 49.2 ab 50.5 a 46.8 b
乳脂肪 1.72 c 1.90 ab 1.93 a 1.76 bc
乳タンパク 1.13 b 1.11 b 1.17 a 1.09 b
乳脂補正乳量/乾物摂取 効率 1.04 b 1.11 a 1.13 a 1.04 b
MUN (mg/dl) 10.8 11.8 11.4 11.6
【まとめ】
  • ・すべてのルーメンバイパスリジン製品が泌乳パフォーマンスを改善するわけではない。
  • ・血粉区とAjiPro®-L区は、同量のリジンを供給したにもかかわらず、泌乳成績はAjiPro®-L区の方が優れていたことに鑑みると、過剰なアミノ酸(窒素)は泌乳成績を悪化させた可能性がある。
  • ・リジン供給量だけでなく、タンパク中(MP中)のリジン比率を上げることが泌乳成績の改善に効果的であると示唆された。

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